Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
七十七
を所有してしかも何物をも所有しなかった人達の悲哀を想像し、その想像を「捨てはてゝ身はなきものと思へども――」と歌った昔の人のパッションにまで持って行って見た。
七十七
やがて節子の通って来る道には早咲の椿の花弁なぞがしきりに落ちるように成った。例のように岸本は途中まで迎えに出て、谷中の方からやって来た節子とある邸地つづきの寺の附近で一緒に成った。彼は独りで家の界隈を散歩するうちにその辺から東禅寺の墓地へ通う抜け路を見つけて置いた。その日は節子と一緒に墓地を歩いて見ることを楽みにして、先ずその方へ彼女を誘った。岸本が先立って案内して行ったのは岡の上にある寺の境内を本堂の裏側へと廻ったところであった。そこから東禅寺の墓地へ抜けるには、新しい墓の並んだ同じ地つづきの傾斜を降りて、藪の多い崖一つ越さねば成らなかった。岸本は先ずその崖を飛び降りて見せた。それから崖はずれの樹木の間に立つ節子を見上げた。
「お前にそこが降りられるかね」
と言って岸本が手を貸そうとする間もなく、節子は自分の洋傘を力に崖を降りてから岸本と顔を見合せた。
どれ程の死者の数が眠っていると言うことも出来ないような、可成広い墓地の眺めが二人の眼前に展けた。