Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

六十

六十

その家の主人とは岸本は既に図書館の方で親づきに成っていた。主人が帰った頃は夕飯の仕度が出来ていて、岸本は樹木の多い庭に臨んだ食堂の方へ案内された。

「夏の間、私共はよくこの窓の外で食事することもあります」

という老婦人の話なぞを聞きながら岸本は主人と細君と四人して食卓を囲んだ。

「何にもお構い申しません。私共でも何時でもこの通りです」

と細君は款待顔に言った。

「岸本さんのようにわざわざ日本から仏蘭西へお出掛下さる方もあり――」と言って老婦人は自分の子息と岸本の顔を見比べて、「そうかと思うと姪のように、仏蘭西から日本の方へ行ってしまうのもあります」

その時岸本は国の方から茶や椿の種を持って来たことを言出した。誰か専門家に頼んで旅の記念に植えて見て貰いたいと話した。

「岸本さんは何をお持ちに成ったと言うのかい」と老婦人は主人に言って、やがて岸本の方を見て、「私は耳が遠くなって時々お話の聞取れないことが有ります」

「種」と主人は大きな声で言って見せて笑った。

食後に岸本は持って来た風呂敷包を取出した。その中からは銀杏、椿、山茶花、藤、肉桂、沈丁花なぞの実も出て来た。