Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
百二十七
暗い月日がそれから続いた。多くの艱難も身に襲って来た。彼は自分の沮喪した意気を回復するまでにどれ程の長い月日を要したかを今だによく想い起すことが出来る。
仙台の旅はこうした彼の心を救った。一生の清しい朝はあの古い静かな東北の都会へ行って始めて明けたような気がした。しかし彼はもう以前の岸本では無かった。それから後になって彼が男女の煩いから離れよう離れようとしたのも、自分の方へ近づいて来る女性を避けようとしたのも、そして自分独りに生きようとしたのも――すべては皆一生の中の最も感じ易く最も心の柔かな年頃に受けた苦い愛の経験に根ざしたのであった。
百二十七
「青木君が亡くなってから、もう何年に成るだろう」
四十いくつかの窓に燈火の望まれる産科病院の前に帰ってからも、岸本は自分の部屋の暖炉の上に置いてある洋燈の前に行って、昔の友人に別れてから以来のことを辿って見た。あの青木や、足立や、菅や、市川や、それから岡見兄弟なぞと一緒に踏出した時分の心持を辿って見た。
夕飯後に、下宿の女中が来て、大急ぎで部屋の窓を閉めて行った。
「窓から燈火が見えると、警察でやかましゅうございますから」