Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

四十六

「今にもう何でも話します」

節子は言葉に力を籠めて、唯それだけのことを答えた。何時の間にか彼女の眼には復た熱い涙が湧いて来た。それが留め度も無いように彼女の女らしい顔を流れた。

四十六

「捨吉、すこしお前に話すことがある。後でお前の二階の方へ行こう」

とある日、義雄はそのことを岸本に告げた。

岸本は自分の借りている二階の方で兄を待受けた。いつも兄が家の方で岸本と話す場合には、祖母さんとか嫂とかが隣室に居る奥の部屋だ。この兄が誰も家のものの聴いていないところで話しに来ようということは、それだけでも岸本には何か意味ありげに思われた。彼は二階の障子に近く行って立って見た。もう秋の蜻蛉がさかんに町の空を飛んだ。泉太や繁は近くにある古い池の方へ行って蜻蛉釣に夢中になっている頃だ。往来へ射して来ている午後の日あたりを眺めても九月の末を思わせる。長い黐竿をかついで池の方へ通う近所の子供等も二階から見えた。そのうちに岸本は家の方から往来の片側を通って来る兄の姿を見かけた。

やがて義雄は階下から楼梯を登って来た。

「うむ、これは明るい二階だ。まあお茶でも一つ呼ばれよう」