Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

三十九

姑息の愛に生命は無い」

折に触れて節子が書きつけたらしい紙のはじには、誰に見せるためでもない女らしい感想めいたきれぎれの言葉が彼女の閉塞がったような小さな胸から滲出して来ていた。

「どんなに僅かでも『主我』のこころのまじった忠告には、人を動かす力はない」

岸本は微笑みながら節子が書いたものを読みつづけた。丁度吃った人の口から泄れる言葉のようにポツリポツリと物が言ってあったからで。

「すべて、徹底を願うことは、それにともなう苦痛も多い。しかしそれによって与えられる快感は何ものにも見出すことが出来ない……自分の眼に見、耳にきき、自分の足で歩まなければ成らぬ」

三十九

まだその他に節子が読んで見てくれと言って置いて行ったものの中には、岸本の帰りの旅を待受ける頃の彼女の心持を書いたものがあり、彼女が産後の乳腫で切開の手術を受けるためにある小さな病院に居たという頃のことを日記風に書いたものもあった。いずれも尖りすぎるほど尖った神経と狭い女の胸とを示したようなもので、読んで見る岸本には余り好い気持はしなかった。

「ほんとに、愛したことも愛されたことも無いような不幸な人だ」