Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

十七

十七

「岸本様――只今ここに参り居り候。久しぶりにて御話承りたく候。御都合よろしく候わば、この俥にて御出を御待ち申上げ候」

岸本は迎えの俥と一緒に、この友人の手紙を受取った。

「節ちゃん、叔父さんの着物を出しとくれ。一寸友達の顔を見に行って来る」

こう岸本は節子に言って、そこそこに外出する支度した。箪笥から着物を取出して貰うというだけでも、岸本は心に責めらるるような親しみと、罪の深い哀さとを節子に感ずるように成った。何となく彼女に起りつつある変化、それを押えよう押えようとしているらしい彼女の様子は、重い力で岸本の心を圧した。節子は黙し勝ちに、叔父のために白足袋までも用意した。

まだ松の内であった。その正月にかぎって親戚への年始廻りにも出掛けずに引籠っていた岸本は久しぶりで自分の家を離れる思をした。彼は怪しく胸騒ぎのするような心持をもって、門並に立ててある青い竹の葉の枯れ萎れたのが風に鳴るのを俥の上で聞いて行った。橋を渡り、電車路を横ぎった。新しい年を迎え顔な人達は祭礼の季節にも勝って楽しげに町々を往ったり来たりしていた。川蒸汽の音の聞えるところへ出ると、新大橋の方角へ流れて行く隅田川の水が見える。