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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

四十三

眼前にある事象にのみ囚われまいとする心、何とかして不幸な犠牲者を救いたいと思う心、その二つの混淆した気持を胸に抱きながら岸本は例の二階の方へ行った。そこへ洗濯物を持って一寸家の方から通って来た節子と一緒に成った。岸本は洗濯物を置いて帰って行こうとする節子を呼留めて、自分の再婚の意志を彼女に話した。

「叔父と姪とは到底結婚の出来ないものかねえ」

思わず岸本はこんなことを言出した。彼は節子の顔を見まもりながら更に言葉を継いで、

「いっそお前を貰っちまう訳には行かないものかなあ。どうせ俺は誰かを貰わなけりゃ成らない」

「吾家のお父さんはああいう思想の人ですからねえ」と節子は答えた。

「節ちゃん、お前は叔父さんに一生を託する気はないかい――結婚こそ出来ないにしても」

こう岸本は言って見て、我と我が口を衝いて出て来た言葉にすこし驚かされた。

「よく考えて見ましょう」

その返事を残して置いて節子は家の方へ帰って行った。

四十三

短い夜に続く朝の空気の中に、家の裏木戸から勝手口へ通う狭い空地も明るくなった。岸本は旅から帰った年の最後の暑さかと思われるような蒸々と寝苦しい一夜を送った後、家中の誰よりも先に寝床を離れて、その裏口へ歩きに出た。