Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
七十四
僕は国の方に居るお父さんのところへ手紙を書いてやりました――僕のお父さんというのは、それは僕のことを心配していてくれますからね――『お父さん、この節はお念仏を唱えるような心になりましたから、そんなに心配しないで待っていて下さい』ッて、ね」
七十四
運命に忍従しようとする岡の話は芸術の生涯に関したことではあったけれども、何となく岸本の耳にはこの画家の熱い、烈しい、しかも失われた恋に対する心の消息を語るようにも聞き做された。意中の人との別れ際に「安心していても好いでしょうね」と念を押して「ええ」という堅い返事を聞いたという岡、それぎり彼女を見ることも叶わなかったという岡、これほど相許した心のまことを踏みにじろうとする彼女の母親は悪魔であるとまで憤慨した手紙を送ったという岡、巴里へ来てからも時々彼女の兄を殺そうとするような夢を見て眼が覚めては冷たい汗を流すという岡、その岡の口唇から「旅は僕を他力宗の信者にしました」という声を岸本は聞きつけた。
その時、画室の外からコンコンと扉を軽く叩く音をさせて、半身ばかりを顕した貧しい感じのする仏蘭西人の娘があった。帽子も冠らずにいるその娘は画室の内の様子を見て直にも立去ろうとしたが、それを岡が呼留めた。