Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

七十九

この言葉を学ぶということと、旅先で執れるだけ筆を執って国を出る時に約束して来た仕事を果すということとは、とかく両立しなかった。おまけに手紙の往復にすら多くの月日を要する遠い空にあっては、国の方の事情も通じかねることが多く、ややもすると彼は眼前の旅をすら困難に感じた。

「運命は何処まで自分を連れて行くつもりだろう」

こうした疑問は岸本の胸を騒がせた。どうかすると彼は部屋の床の上に跪き、堅い板敷に額を押宛てるようにして熱い涙を流した。

七十九

知らない人達の中へ行こうとした岸本は一年ばかり経つうちに、ビヨンクウルの書記やブロッスの教授の家族をはじめ、ラペエの河岸に住む詩人、マダムという町に住む婦人の彫刻家、ベチウスの河岸に住む日本美術の蒐集家なぞの家族を知るように成った。しかし何かこう食足りないような外来の旅客としての歯痒さは土地の人に交れば交るほど岸本の心に附纏った。

六月に入って、岸本はビヨンクウルの書記のお母さんから手紙を貰った。その中にあの老婦人が長いこと病床にあったことから書出して、定めしあなたのことも忘れていたかのようにあなたには思われようが、決してそうで無い、この御無沙汰も自分の病気ゆえであると書いてよこした。