Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
あそこに詩の精神がある、ここに歴史の精神がある、と言うことが出来るように成った。何等の先入主に成ったものをも有たなかった彼に取っては、殆ど応接するに暇の無いようなこの新天地の眺望ほど旅の不自由を忘れさせるものはなかった。
異郷の生活を続けようとする心を移して、岸本は遠く国の方にある自分の身内のもののことを思いやった。足掛二年の月日は遠く離れている親戚の境遇をも変えた。姪の愛子は夫に随って樺太の方に動いていた。根岸の嫂は台湾の方へ出掛けて行って民助兄と一緒に暮していた。恩人の家の弘が結婚したことも、鈴木の兄が郷里の方で病死したことをも、岸本は旅にいる間に知った。
何となく遠く成って来た国の方の消息の中で、東京の留守宅の様子を岸本のところへ精しく知せてよこすのは節子であった。彼女からの便りで、岸本は義雄兄の家族に托して置いて来た二人の子供の成長して行くさまを思いやることが出来た。「あなたの方の身体は鉄ですか」と丈夫な子供等に向って言暮しているという嫂の言葉、黐竿を手にして蜻蛉釣りに余念がないという泉太や繁の遊び廻っている様子――耳に聞き眼に見るようにそれらの光景を思いやることの出来るのも、彼女からよこしてくれる手紙であった。