Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

百十六

。後になって考えると、それが彼の上京後唯一度の父子の邂逅であったのである。それぎり彼は父を見なかった。

百十六

岸本が父を知るように成ったのは、寧ろ父が亡くなってからの後のことであった。漸く彼が青年期に入って彼自身の遽かな成長を感じ始めた頃、郷里の方にある老祖母さんの死去を聞いて一度帰省したことがある。民助兄もその頃は既に東京で、彼は兄の代理として老祖母さんを弔いかたがた郷里に留守居する母や嫂の方へ帰って行った。その時、彼は久しぶりで自分の生れた家を見たばかりでなく、父の遺した蔵書を見せようと云う母の後に随いて裏庭の方へ出た。母屋の横手から土蔵の方へ通う野菜畑と桑畑の間の径、老祖母さんの隠居所となっていた離れの二階座敷、土蔵の前に植てある幾株かの柿の木、それらは皆な極幼い頃に見たと変らずにあった。母は暗い金網戸の閉った土蔵の石段の上に立って、手にした大きな鍵で錠前をガチャガチャ言わせ、やがて彼を二階の方へ案内した。そこに老祖母さんの嫁に来た時の長持が残っている。ここに母の長持が置いてある。それらの古い道具を除いては、土蔵の二階にあるものは父の遺した沢山な書籍であった。