Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
彼はなだらかな岡の地勢を成したソルボンヌ界隈の町をパンテオンへと取り、あの古い建築物の側にあるルウソオの銅像の周囲を歩いて、それからサン・ジャックの町の狭く長い石造の歩道を進んで行って見た。ヴァアル・ド・グラアスの陸軍病院の前から、ごちゃごちゃと雑貨の店の並んだ細い横町を通り抜けると、その町の角が以前の下宿のある建築物だ。主婦はもう世帯を畳んで他へ移って終ったから、高い窓々は皆閉きってあったが、三年の間机を置いて獄中で勉強した人のように新しい言葉を学んだその自分の部屋の窓がもう一度彼の眼にあった。まだ朝のうちのことで、日頃顔を見知った朝通いらしい人達、牛乳の罎を提げた娘、新聞を買いに出る町の下女なぞが高いプラタアヌの並木の間を往ったり来たりしていた。岸本は天文台前の広場について、例のシモンヌの家へも一寸別離の言葉を掛けに寄った。捕虜にでも成ったらしいという娘の父親は行方不明のままであった。二度とこんな旅に来ようとは思わない。それが岸本の腹の中にあっても、さすがにこの大きな都会ももう見られないかと思うと深い愛惜の心が湧いた。彼はサン・ミッシェルの並木街を旅館まで歩いた。