Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
と節子は岸本に言って見せた。
母親の呼ぶ声を聞きつけて節子は弟と一緒に階下へ降りて行った。二階には岸本独り残った。節子の勉強する机をなつかしむ心と、独りでノンキにその三畳に横にでも成って見たい心と、その二つの混り合った心から、彼は手紙書く気にも成れなかった。そこは飾り一つ無い小部屋で、唯節子が彼女のたましいを沈着ける為にのみある「隠れ家」のようにも見えた。僅かに女らしい繊細な趣味を机の辺にとどめたような、その部屋の簡素なことが、反って岸本を楽ませた。
一人の客が岸本に逢いに来てやがて帰って行った頃は日暮に近かった。節子は高輪の方にある時とも違う心易さから、二階を片付けながら岸本に話しかけに来ることもあったが、その度に次郎が彼女に随いて来た。一郎までがめずらしそうに二階へ上って来た。彼女は附纏う弟達をうるさがって、部屋々々を逃げて歩いた。
「泉ちゃんや繁ちゃんが大きく成ったら、何と思うでしょうねえ」
節子は唯そんな僅かな言葉を掛けるのを楽みに岸本の側へ寄った。
「何と思われたって仕方が無いじゃないか。唯、真実によく知って貰いたいと思うね……大きくなって解りさえすりゃ、そりゃお前吾儕の心持を認めてくれる時もあろうじゃないか」