Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
六十八
彼の気質としては自分で自分の機嫌を取ることも出来ない。どうして気恥しい思いもなしに他の機嫌を取ることが出来よう。そこには何となくまだ物足りない余地があった。彼女を保護し、彼女を導くというだけでは、最早彼には物足りなくなって来た。あまりにつつましやかな彼女の手紙の調子も物足りなくなって来た。言葉を更えて言えば彼はもっともっと節子の方から動いて来ることを望んでいた。
六十八
谷中から節子が岸本の家へ通って来る日はおおよそ毎週の土曜と定めてあった。彼女は父の附添いとして一日置きの病院通いに差支ないかぎり、叔父の許へ手伝いに来ることを怠るまいとしていた。義雄が眼を患うように成ってから、一層節子は母親を助けて働かねば成らないという様子を見せた。仮令僅の所得でも彼女は叔父から得る月々の報酬を母親のために役に立てようとしていた。岸本は旅の土産ともいうべき自分の仕事に取掛った時で、彼女に与える仕事らしい仕事を用意する余裕もなく、写し物とか校正とかそういう方の手伝いでも頼みたいと思っていたが、そういう仕事の有る無しに関らず彼は節子と共に働いていると考えることを楽みとした。