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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

「俺はもう一生、誰にも自分の心をくれないつもりだった。到頭お前に持って行かれてしまった」

忘れることの出来ない苦い過去の経験がこんな言葉に成って岸本の口から出て来た。まるで男にでも話しかけるように節子に話しかけた彼の語気はすこし彼女を驚かした。

「まあ、あんな調子で物を仰るなんて――」

と節子はすこし側の方へ眼をそらして半分独語のように言った。

しかし岸本は、節子と彼との年齢の相違から起って来る猜疑深い心までも彼女の前には隠すまいとした。

「今まで俺はあんまりお前をいたわり過ぎたと思って来た。女の人だと思っていたわり過ぎるということが、結局本当の話をさせないんだと思って来た。節ちゃん、お前は一体俺みたような人間の何処を好いと思う? 髪はもうこんなに白く成って来たし……俺なぞはもうそんなに長く生きてやしないんだぜ。もっと若い人で俺なぞより気の利いてる人がいくら有るか知れない。どうだね、そういう人でも一つ探して見る気に成ったら……」

半分は心やすだて、半分は串談のように、岸本はこんなことを言出して笑った。その時ほど岸本は自分の心の醜さをあからさまに節子に見せたことは無いとも思った。