Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
十六
すこしもまだ彼女の様子には人の目につくような変ったところは無かった。起居にも。動作にも。それを見て、岸本は一時的ながらもやや安心した。
節子を見た眼で岸本は婆やを見た。婆やは流許に腰を曲めて威勢よく働いていた。正直で、働き好きで、丈夫一式を自慢に奉公しているこの婆やは、肺病で亡くなった旧い学友の世話で、あの学友が悪い顔付はしながらもまだ床に就くほどではなく岸本のところへよく人生の不如意を嘆きに来た頃に、そこの細君に連れられて目見えに来たものであった。水道の栓から迸るように流れ落ちて来る勢いの好い水の音を聞きながら鍋の一つも洗う時を、この婆やは最も得意にしていた。
何となく節子は一番彼女に近い婆やを恐れるように成った。それにも関らず、彼女は冷静を保っていた。
十六
「旦那さんは今朝はどうかなすったんですか。御飯も召上らず」
二階へ雑巾がけに来た婆やがそれを岸本に訊いた。
「今朝は旦那さんのお好きな味噌汁がほんとにオイしく出来ましたよ」とまた婆やが言った。
「なに、一度ぐらい食べないようなことは、俺はよくある」と岸本は一刻も働かずにじっとしてはいられないような婆やの方を見て言った。