Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
その心持で、ある日彼は谷中の方からやって来る節子を待受けた。
節子は訪ねて来た。丁度家のものは祖母さんはじめ子供から女中まで上野の方へ花見に出掛けた時で、岸本独り寂しく留守をしていた。節子は例のように先ず祖母さんを見ようとして、長火鉢の置いてある部屋の方へ行った。
「祖母さんは?」
と訊く彼女を迎えて見ると、まるで家の内は寺院のようにしんかんとしていた。岸本は以前の浅草の家の方で、よく家のものを送り出し、表の門を閉めて置いて、独り居る寂しさを楽んだことなぞを思い出した。
「今日は皆お花見さ、俺独りお留守居だ。お前も帰るなら、もう帰っても可い」
「そんなら帰りましょうか」
と節子はわざと言って見せて、それから、廊下づたいに奥の部屋へ来た。岸本は誰よりも先ず節子に自分の手一つで泉太や繁を養って見ようと思い立っていること、それには遠からず適当な下宿を見つけて子供等と一緒に移り住もうと考えいることなぞを言出した。
「男の手で果してこんなことが出来るだろうか。出来ても、出来なくても、まあ俺は自分で子供を育てて見るつもりだ」
この岸本の思い立ちは、それほど節子を驚かしもしなかった。