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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんせい

新生

島崎 藤村

Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme

Aozora Bunko

酒の興を添えにその二階座敷へ来ていた女の一人は、日頃岸本が上方唄なぞの好きなことを知っていて、古い、沈んだ、陰気なほど静かな三味線の調子に合せて歌った。

「心づくしのナ

この年月を、

いつか思ひの

はるゝやと、

心ひとつに

あきらめん――

よしや世の中」

いかなる人に聞かせるために、いかなる人の原作したものとも知れないような古い唄の文句が、熟した李のように色の褪め変った女の口唇から流れて来た。

「みじか夜の

ゆめはあやなし、

そのうつり香の

悪くて手折ろか

ぬしなきはなを、

何のさら/\/\、

更に恋は曲者」

元園町の友人の側に居て、この唄を聞いていると、情慾のために苦み悩んだような男や女のことがそれからそれと岸本の胸に引出されて行った。

「元園町の先生は好い顔色におなんなすった」と年嵩の方の女中が言った。

「君の酒は好い酒だ」と岸本も友人の方を見た。

「岸本先生は真実に御酔いなすったということが御有んなさらないでしょう」と髪の薄い女中は二人の客の顔を見比べて、「先生のは御酒もそう召上らず、御遊びもなさらず、まさか先生だって女嫌いだという訳でもございますまいが――」

「先生は若い姉さん達を並べて置いて、唯眺めてばかりいらっしゃる」