Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
こう岸本は言い紛らわしたものの、親切にいろいろなことを教えてくれる友人にまで、隠さなければ成らない暗いところのある自分の身を羞ずかしく思った。
まだ岸本は兄の義雄に何事も言出してなかった。留守中の子供の世話ばかりでなく、節子の身の始末に就いては親としての兄の情にすがるの外は無いと彼も考えた。しかしながら、日頃兄の性質を熟知する岸本に何を言出すことが出来よう。義雄は岸本の家から出て、母方の家を継いだ人であった。民助と義雄とは同じ先祖を持ち同じ岸本の姓を名のる古い大きな二つの家族の家長たる人達であった。地方の一平民を以て任ずる義雄は、家名を重んじ体面を重んずる心を人一倍多く有っていた。婦女の節操は義雄が娘達のところへ書いてよこす何よりも大切な教訓であった。こうした気質の兄から不日上京するつもりだという手紙を受取ったばかりでも、岸本は胸を騒がせた。
「お前のお父さんが出ていらっしゃるそうだ」
それを岸本が節子に言って聞かせると、彼女は唯首を垂れて、悄れた様子を見せていた。でも彼女が割合に冷静であることは岸本の心をやや安んじさせた。
旅の支度に心忙しく日を送りながら今日見えるか明日見えるかと岸本が心配しつつ待っていた兄は名古屋の方から着いた。