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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

「誰に頼まれた」

「へ、へい……」

「ぬかさぬか」

「申し訳がございません。実は、少し外で食らい酔って来ましたが、夕方から大びらで寝るわけにも行かないので、この押入れへ潜り込んだまま、つい、グッスリとしてしまったので」

「…………」

「そ、それに相違ございません、このとおり、食らい酔っているのが、証拠で、へい、どうか御勘弁のほどを」

男は不意に、飛びさがった。

「待て、誰が行けと言った」

「……ご、ごめんなすッて」

弱音をあげようとするのを取っちめて、男の髷の先を握ったまま、三五兵衛はそれを畳へ抑えつけたが、ぐっと、その利腕の入墨をめくって、

「おのれの面と声がらに覚えがある、伊勢の松坂で拙者の枕元を探った、胡麻の蠅の仙吉だな」

「えっ。……だ、旦那は」

「静かにいたせ。……だが、今夜は枕さがしではあるまい。何しにそこへ隠れていた?」

「……お。やっと、思い出しました。じゃ旦那は松坂の宿で、あっしがどじを踏んでひでえ目にあわされた、あのお侍さんでございましたか。……も、もすこし手を緩めておくんなさい。あの時懲らされた目は今でも忘れちゃおりません。旦那の腕には、充分と、懲りております」