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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

五

五

酒がはいってみると、煙火師渡世の者は、みんなズバ抜けた道楽者ぞろいである。飲むことも飲むが、話は面白い。膝のくずせない五人の侍は、だんだん存在が薄くなった。

折をはかって、父の兵助が眼で招いたので、お芳はおずおずと奥へついて行った。うす暗い書斎だった。

――そこへ、お坐り。

ここで見れば、父の眼は急にやさしい。けれど、孤独の涙と、峻厳をもった優し味である。

兵助の声はかすれていた。

「おまえな……」

「はい」

「まさか、七之助と、ひょんな仲になっておるんじゃあるまいな」

「ええ」

「ええじゃ分らんの」

「人の蔭口でございますよ」

「たしかに蔭口かな」

「お父様の眼をしのんで、そんなことはいたしません。ただ」

「ただ?」

「……いろんな相談をうけるものですから」

「どんな相談を」

「こんどの仕事のことで、七之助さんは、藩士の方よりも、戸狩の誰よりも、いちばん死身にかかって、苦しそうでございます」

「それや、苦しんでおるじゃろう。ふだんは博奕と酒より能のないやつじゃ。それが仲間内から、若いのに名人だとか、上手だとか、煽てられておるだけに、こんどのような場合には、いやでも、人優れた腕をみせなければ、この村にもいたたまれまい。