Japanische Klassiker mit Furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme
傲慢人
「こんなことが嘘ッ八でいえるものですか。あいつはまだ十六、七の時、巡礼か何かに化けて、この山へ紛れこんできた他国者なんで、巧く久米一の気に入って、絵描座の細工人に成り澄ましたが、根からの巡礼で、ああ俄に腕が上がる筈はねえ、きっと金沢の九谷かどこかの廻し者で、色鍋島の錦付や釉薬の秘法を盗みに来たやつに相違ありません」
「しかし百助、それだけの理由では、兆二郎を御法度破りと見なすわけに参らんぞ」
「だから、これから師匠の家まで、恐れ入りますが一緒に来ておくんなさい。あいつとわっしが対決して、きッと生白い仮面を引っぱいでお目にかけましょう」
「では何か、そちが兆二郎に泥をはかせるから、拙者に立会ってくれというのか」
「親方の久米一にも聞いていて貰います。この山の鍋島焼きは、二百年来の秘密窯で、殿様初め佐賀城につぐ宝だとしているものだ。九谷の者なぞに、窯築きの法や薬合せを盗まれて堪るものか。第一、そんな御法度破りを出せば親方も同罪だ、わっしや久米一のためにも、ウントここで肌を脱がなきゃなりません」
傲慢人
黒髪山と谷川との間の狭い盆地に、陶工久米一の細工邸があった。