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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

六

その儒者は、馬みたいな長い顔をしていた。

沓野の百姓に葡萄酒を造らせてみたり、温泉場の排泄物から、なんとかいう西洋薬をとる試験をしてみたり、また、この近郷の山に檜の苗を植えるといって、あまり百姓を加役に引っぱり出したため、佐久間騒動などという一揆をひき起したりした象山という学者は、あの人だったかなどと、彼女はそんなことを考えたりしていた。

すると、その時、

「喧嘩はよせ」

「喧嘩じゃない!」

「無礼だ!」

「無礼じゃない」

と、寄合のある座敷のほうで、怒号と物音と、何やら、すさまじい空気が、屋内を震撼し出した。

六

兵助はすぐに出て行った。

お芳も、何事かと、あとについて、廊下の隅に立ちすくんだ。

あらかたの者は、話もすみ、酒にもたんのうして帰った後である。

――見ると、蜂屋慎吾と七之助が、お互いに蒼白になって、何か、口論しているところだった。

それが今にも、腕力沙汰になりかねない息巻きなので、残っていた少数の村の者と、四名の藩士が、双方のそばに立って、

「まあ、およしなさい」

「七! やめろ」

と、押しわけていた。

「不埒なやつだ、武士に向って」

と、慎吾はなかなか鎮まらない。