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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

美人系

一

「気一つだ」

だらだらと、丘を降りて来た。

すると――麓から、若い、一人の女が、上ってくる。

「オヤ、何処かで?」

と、初めは、そんな程度の注意だったが、両方から近づくにつれて、

「やっ?」

愕然として、喉でさけんだ。

何ものかに、押し返されるように、彼は、たたたと、後へ戻った――いや蹌めいた。そして、樹の蔭にかくれて、あらい息を、肩で、

「不思議だ、お里が来る、お里が?」

――と、一角にしては、おかしいくらい、あわてて、顔いろさえ変えて、呟いた。

美人系

一

「丈八郎という男は、今時の、若いに似あわぬ一徹者だ。二人が、何と説いて聞かせても、金で身売りなどとは、剣士の恥。たとえ、一時の方便でも、藩へ無断で、脱走するなどとは、以てのほか――とばかりで、俺たちも、口をすッぱくして通ったが、匙を投げた。あれは、諦めものだぞ」

宿へ帰ると――青砥弥助に湧井のふたりが待っていて、一角の顔を見るなり、こう言って、

「どうする?」

と、彼の決意を聞くのだった。

「じゃ、兵部様の腹中を、洩らしたのだな」

「少しは、格好を話さなければ、所詮、耳をかす男ではないもの」

「しかたがねえ。