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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

「左様なことはどうでもいい。早く申せ、この事情を」

「こうと知りゃ、頼まれてもするんじゃありませんが、実あ私は、今では胡麻の足を洗って、この鮎川部屋の厄介になっておりますんで」

「うむ、仁介の杯を貰っているのか」

「という程でもございませんが、この仲間で、客分というような形なんで。すると今夜、お稲さんと賛之丞さんに呼ばれて、奥に泊まった浪人の寝込んだところを見届けて、その大小を取り上げて、合図をしてくれと頼まれました」

「何。では賛之丞のやつ、拙者を三五兵衛と知らないのではなかったのか」

「あっしも、その昔、伊勢の松坂でこッぴどく懲らされた旦那だとは夢にも知りませんから、お安い御用とひきうけた訳なので」

「ウム、するとあの、お稲という女も、無論賛之丞とは同腹だな」

「そりゃあ、元より極まったお話です。あのお稲は、江戸から流れて来た旅芸者で郡内の甲斐絹屋へかたづいたのを、淫奔な性ですぐ帰され、その後鮎川の親分の世話になっている女で、それが賛之丞が小篠へ来るとすぐに出来て、今じゃ、親分の前でも公びらに、甘いところをやっている仲ですがね」

三五兵衛の胸は何か考えこんだ。