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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

と、刀を引っ奪って、

「出て行けっ。泥棒の真似なんぞしやがッて、大きくなって、何になるつもりだっ」

と、呶鳴りつけた。

蜘蛛の子みたいに、ばたくさと、悪童たちが逃げ出した後で、蔵六は、障子を閉め窓の戸袋を見廻した。――戸を閉めたり、開けたりして、

「はてな、窓はここだけだが? ……」としきりに、首を傾げている。

「何ですか、お父っさん」

お登利が、後ろに立つと、

「何でもいい、あッちへ行ってろ!」と、叱りとばして、今度は、引き出した戸を、二枚とも外して、戸袋の奥へ、手を伸ばしたり、覗き込んだりした。

けれど――鼠の糞と、煤だけだった。金ッ気らしいものは、釘一本ない。

彼は、うろたえた。立場を失った。――娘に対しても、病人に対しても。

裏へ、飛び出して、崖の土まで真っ青な、紺屋川の枯れ草の中に、

「さあ、どうしよう?」

と、腰をついて、鬱ぎこんだ。

すると、霜解けの原を、ぐしゃぐしゃと、歩いてくる男がある。ひょいと見ると棟は違うが、同じもっそう長屋に住んでいる卯平だ。

「おう、今帰りか」

「なあに、きょうは昼番だが、とてつもねえ事が起ったので、朝早く、八丁堀まで行って来たのさ」