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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

と、読める。

「――子を大事になさいよ。親は子を育てたいといいますが、私は、子に救われ、子のため、人間になりました。わしばかりでござるまい、世間、親と威張る衆は多いが、実は、子に救われている親御衆の方が、どんなに多いか知れないので……」

と、行者心蓮は、子供のいる家の前に立つと子の功徳を説き、地蔵愛を誦し、わけて子を亡くしたという家を聞くと、必ず訪ねて慰めた。

「お心がございましたら、一文でも二文でも、地蔵堂の建立に御寄進ねがいます。――私の死ぬまでに、それがどこかの紫雲英の原に、小やかな一宇の愛の御堂となれば、私は、その原の白骨となって御守護いたします。はい、一人でも二人でも、世の親御様たちに、私の心が届けば、それで本望なのでございます」

カーン。カアーン……

鉦は、そういって、黄昏の迫る村を歩くのだった。

「地蔵様へ、花供げろ」

ぞろぞろ、尾いて歩いていた子供たちも、一人減り、二人減り、彼のまわりは、もう寒い伊吹颪と夕闇だけだった。

「ああ、雪が来た」

心蓮は、空を仰いで、初老を越えかけた眼をしばたたいた。天蓋に――勧進旗――横なぐりの雪がぼたぼたと吹きつけた。