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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

なるほどそれは一理あるな。だが後の言葉はなお久米一らしかった。べら棒め! と、こいつは、あの仁の癖で、――西行とか芭蕉とかいう男みてえに、尾花や蒲公英にばかり野糞をしてフラフラ生きているような人間になって、ほんとの、生きた陶器が作れるかい。陶器ってえな冷やっこい物ばかりじゃねえぞ、恋女房の肌みてえに、暖かいものの筈なんだ? と。ははははは、無学の暴言かも知れないが、一家言として聞いてもいい、とにかくあいつは活々した人間らしいな、この杢之進に較べてみても」

立つと思う心もなく、フイとひとりでに立ち上がった。急に、久米一の細工邸へ、出かけてみたくなったのである。

そして、灌木の枝を掻きわけながら、ザワザワと低地へ下りて行きかけたが、何に眸を衝たれたのか、

「あ――」棒立ちに足をとめてしまった。

先の者も人の気配に、杢之進よりはびっくりした様子。雉子の雌雄が舞ったように、パラパラと沢の方へ逃げだした。

後ろ姿――どっちも美しい若人である。「罪なことをしたなア」

彼は、何だか余りいい気持がしなかった。これは退屈の憂鬱へ、少し刺戟があり過ぎる。だが、こんなこともこの山にあった方が喜ばしいと思った。