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Japanische Klassiker mit Furigana

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じろきちこうし

治郎吉格子 名作短編集(一)

吉川 英治

Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

「こいつを、満足に火からだすのも、暗から暗にしてしまうのも、窯焚きのおれの火加減一つじゃねえか! ウム!」と彼は思いついた悪智にうなずいて魔の笑いをもらした。

こうなると、百助の冴えた腕は、恐ろしい悪事の構成に利用される。彼は窯の中の陶器を、巧みに、火加減をもって悪作なものと変質させようとするのである。それも通常一般な窯焚きが窯主に仇するような拙い手法でなく、後に誰が見ても、その製作が久米一の手落ちなためで、火入れの故意ではないように見せるべく苦心をした。

で、彼は、わざと変則な火入れをした。

夜に入り夜が更けると共に、太い火柱の影が、月の空へ突きとおって見えた。そしてすでに五更の暁に近いころ……。

今が大事な火加減のところである。

厚く築いた窯の土が、人間の血を日に透かして見るように赤く見えてきた。ここに窯焚きの懸命が入れば、陶器の増長天王、焔の中から命をもって、世に出たもうことになるのだろうが、百助は、元よりそれを呪っている。仇の胎児の死を眺めるような気持で冷然と、薪束の上に腰を下ろし、スパスパ煙草をくゆらし始めた。

たちまち窯の肌がドス黒く、火口の焔も弱って真っ暗になってきた。