Japanische Klassiker mit Furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Lesen Sie 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 178.609 Zeichen · 362 Bildschirme
俺も一度醤油賭をして、二合五勺まで飲んだが鼻血が出ちまってあとの二合が飲めなかった。それを七合も飲みゃあ死ぬのは当りめえだ。第一他のものならいいが醤油を飲ませた行司が物の分らねえ奴だ」
「そうかなあ」
と、一同は由の該博に感心した。ところが感心しない者がひとりいた。割合にむっつりな六である。
「だってお前、おれが一度仕事に行った浜町の砂利場にゃ、平気で一升賭をする奴があるぜ」
「醤油をか?」
「そうよ、一升賭をしちゃ、きっとペロリとやって、そいつに勝たれてしまうんで、誰でも相手にしねえっていうくらい、評判になっている男があるんだ」
「おかしいな、それで生きてるかい」
「何ともありゃしねえ、毎日砂利場か、深川の佐賀町河岸へ荷揚げに出て来るから確かなものさ」
「嘘だろう、どう考えても、醤油を一升も飲みゃ死ぬ筈だ」
「だッて、現在、生き証拠があるんだから為様があるめえ。嘘だと思ったら今度行って、賭をやってみるさ」
「よしきっとやってやる。なんてえ男だ、そいつあ?」
「佐賀町で、醤油賭の伝公といや、知らない者はない。だが伝公は小さい勝負じゃ、首を振るぜ」
「一朱か二朱か」
「何しろ、その帳場にいる者が、十五人二十人と組んで二両とか三両とか束になって纏めなくっちゃ、どうしてもやろうと言わねえそうだ」