Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
これらの賛辞が将軍の耳に入ったときは、十里歩いてほめられる僕の感とさらに変わった事はなかったろう。
またこれに反しなにゆえに彼が某戦場において、某将軍を某地に向けなかったか、なにゆえに某月某日に、北方軍を某地において衝かなかったか、なにゆえに彼は某所の包囲の時に、かくかくの作戦をしなかったかと、岡目八目や、あとから出る下司知恵を振りまわして、彼を非難する声がさかんになった時は、彼の心に起こった考えは、恐らく僕が十里以上の遠足をしなかったと非難されると同じことであったろう。
世を渡るにはまったく輿論を無視するわけにはいかぬけれども、世人の考えをのみ標準として成敗を測ることは、はなはだはかなき業である。勝つも敗くるも、失敗するも成功するも、その基は各自の心のうちに置いてこそ、真の成敗の味わいが分かるものである。成敗を慮るには立脚の地歩によりてどうとも考え得らるる場合が多い。これはしまったと思うことも静かに見つめ、自己の心に顧みて悪意なきを悟れば、いわゆる失敗は恥ずかしくもなければ、痛くもないことがしばしばある。自己の心の据えどころこそ成敗を測る尺度であって、この尺度が曲がらぬ以上は、いかなる失敗に遭遇しても心に憂うることがない、これ霊丹一粒、鉄を点じて金と成すものか。