Japanische Klassiker mit Furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Lesen Sie 自警録 (じけいろく) von 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 168.224 Zeichen · 328 Bildschirme
今もなお不明なる僕の受くる恩
今もなお不明なる僕の受くる恩
はなはだ事が私事にわたるようで、ことに小なことで、人に語るに価もないか知らぬが、かほどな些細なことも、好意をもってすれば、かほどに人の心を感動せしむるものであるという証拠に、ここにこれを述べる。
僕が札幌の郊外に一個の墓をもっている。札幌の天地は僕の青年時代に学問したところで、さなきだに第二の故郷として慕わしいが、この慕わしき念をいっそう深からしむるものは、この小さき墓地である。ゆえに折々かの石碑の周囲に雑草がはびこって、見すぼらしくなりはせぬか、石が倒れて見る甲斐なきようになっておるまいか、悪戯の子供らが石の上に落書でもして不作法になってはおらぬかと、折々心を痛めることがある。それゆえ友人に頼み、ついでの時に見巡ってもらったが、彼が墓所へ行ったつど、報告してくれるに、いつでもいつでも草はきれいに刈られ、周囲がすこぶる整然していると。ここにおいてあまりの不思議さに、同じ友人に依頼して誰が掃除してくれたるか、もし判ったならば礼もしたいから、住職なり番人なりに質してくれと、いって送るけれども、友人の穿鑿ではなかなかかくも墓地に対して好意を示す人を探し得ない。