Japanische Klassiker mit Furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lesen Sie 道標 (どうひょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 846.457 Zeichen · 1672 Bildschirme
――佃が死んだ――
「遺児の育英資金を募集しているんでね、立つ前に、応分のことをして来た。きょう、事務所からよこした書類の中に受取がはいって来たんで思い出したんだが」
「いつごろのこと?」
「あれは――もうごたごたしはじめていたときだから四月ごろだったかな。結核だ。三人遺児があって、まだどれも小さいらしいから、夫人は気の毒だ」
伸子が佃とわかれてから五年たっていた。三人の幼児とのこされた夫人というひとは、佃に同情して、我ままだった伸子さんに代って、佃をきっと幸福にして上げるといって彼と結婚したひとだった。どこかの学校で教鞭をとっているひとのようにもきいた。
「何でも、子供がみんな弱いんで、沼津とかへ移ったということだった」
佃との生活にどうしても馴れることができないで、伸子が逃げ出してしまったとき、佃のアメリカ時代からの友人が、こんど結婚したら女が何と云っても、子供を生ませなければいけない、と忠告したということも、伸子はきいていた。佃が自分で、そういう風なことを伸子に云ったような記憶もある。四つか三つをかしらに、三人のよわい子供をこれから育ててゆく夫人――。