Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
いまではもう全く、鈴岡の人だ。顔まで鈴岡さんに似て来たようだ。顔といえば、僕は俊雄君の顔を考えるたびに、しどろもどろになるのである。俊雄君は、鈴岡さんの実弟だ。去年、田舎の中学を出て、いまは姉さんたちと同居して慶応の文科にかよっているのだ。こんな事を言っちゃ悪いけれど、この俊雄君は、僕が今までに見た事もない醜男なのだ。実に、ひどいんだ。僕だって、ちっとも美しくないし、また、ひとの顔の事は本当に言いたくないのだが、俊雄君の顔は、あまりにもひどいので、僕は、しどろもどろになってしまうのだ。鼻がどうの、口がどうのというのではないのだ。全体が、どうも、ばらばらなのだ。ユウモラスなところも無い。僕はあの人と顔を合せると、いつでも奇妙に考え込んでしまう。一万人に一人というところなのだ。こんな言いかたは、僕自身も不愉快だし、言ってはいけない事なんだが、どうも事実だから致しかたが無い。あんな顔は、僕は生れてはじめて見た。男は顔なんて問題じゃない、精神さえきよらかなら大丈夫、立派に社会生活ができるという事は、僕も堅く信じているが、俊雄君のように若くて、そうして慶応の文科のような華やかなところで勉強している身が、あんな顔では、ずいぶん苦しい事だってあるだろうと思う。