Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
どういう訳か僕は、俳優になりさえすれば、立派に成功できるという、へんな自惚を持っていたのである。顔に就いての自惚れではない。教養と芸に就いての自惚れである。僕は、映画俳優をあこがれてはいない。くるしい、また一面みじめな職業だとさえ考えている。けれども、この職業以外に、僕の出来そうなものはちょっと考えつかないのである。牛乳配達には、自信がないのだ。僕は大船で降りた。どんな事があっても、かならずねばって、誰かひとり、監督に逢うつもりであった。僕は、この事は、一高のドロップを知った直後に、颯っときめてしまっていたのだ。最後はそれだと決意していた。眼にものが見えぬほど異様に意気込んで撮影所の正門まで行ったが、これは、深刻な苦笑に終った。日曜であった! なんという迂闊な子だろう。何事も、神の御意だったのかも知れない。日曜であったばかりに、僕の運命は、またもやぐるりと逆転した。
僕はトランクをさげて、また東京へ帰った。東京の夕暮は美しかった。有楽町のプラットホームのベンチに腰をおろして、僕は明滅するビルデングの灯を、涙で見えなくなるまで眺めていた。その時、或る紳士に軽く肩を叩かれたのだ。