Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
杉野さんが、心配して熱を計ってくれた。七度八分。香川先生に来ていただきましょうか、という。要らない、と断る。香川さんというのは、母の主治医である。幇間的なところがあって、気にいらない。杉野さんから、アスピリンをもらってのむ。うつらうつらしていたら、ひどく汗が出て、気持もさっぱりして来た。もう大丈夫だと思う。兄さんは、朝から、れいの事件で下谷へ行ったそうで、まだ帰らない。簡単には、治まらなくなったらしい。兄さんがいないと、なんだか心細い。また、杉野さんに熱を計ってもらったら、六度九分。勇気を出して寝床に腹這いになって、日記をつける。われ、大学に幻滅せり。どうしてもそれを書きたかったのだ。腕がだるい。いまは夜の八時である。頭がハッキリしていて、眠れそうもない。
四月二十五日。火曜日。
晴れ。風強し。きょうは学校を休む。兄さんも、休んだほうがいいと言う。熱はもう何も無いので、寝たり起きたり。
事件というのは、姉さんが鈴岡さんと別れたいと言い出した事である。直接の原因は、何も無いようだ。ただ、いやだというのだ。いやだという事こそ、最も重大な原因だと言って言えない事もないだろうけど、具体的に、これという原因はないらしい。