Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
その男が、いま演劇の世界に第一歩を踏み出すに当って、まずい答案を書いたなら、一生消えない汚点をしるす事になる。かならず僕は、第一番の、それもずば抜けた成績を示さなければならぬ。学校の試験とは、ちがうのだ。学校の試験は、僕の将来の生活と、かならずしも直接には、結びつかなかったけれど、このたびの試験は、僕の窮極の生きる道に直接につながっているのだ。これに失敗したら、もう僕は他に、どこへも行くところが無くなるのだ。学校の試験で失敗したって、「なあに僕には、別な佳い道があるのだ」と多少の余裕とプライドを持ちこたえている事が出来るけれど、こんどの試験では、「なあに」なんて言って居られぬ。もう道が無いのだ。何もないのだ。ぎりぎりの最後の切札ではないか。とても、のんきにしては居られぬ。僕は、すっかり、まじめになってしまった。ちょっと自信は無いが、あの斎藤市蔵先生の、僕は弟子、みたいなものだ。向うでは問題にしていないかも知れぬが、僕はこれから、勝手にそう思い込んで、大いに自重しようと決意しているのだ。自動車に一緒に乗ったのだ。めったに、下手な答案などは書けない。