Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
いまでも決して、上杉氏の態度を立派だとは思っていないが、けれども、それだからとて人間生活全部を否定しようとしたのは、僕の行き過ぎである。きょう鴎座の研究所へ行って、もういちどあの芸術家たちと、よく話合ってみようかと思った。二十人の志願者の中から選び出されたという事だけでも、僕は感謝しなければならぬのかも知れない。
けれども放課後、校門を出て烈風に吹かれたら、ふいと気持が変った。どうも、いやだ。鴎座は、いやだ。ディレッタントだ。あそこには、理想の高い匂いが無いばかりか、生活の影さえ稀薄だ。演劇を生活している、とでもいうような根強さが無い。演劇を虚栄している、とでも言おうか、雰囲気でいい心地になってる趣味家ばっかり集っている感じだ。僕には、どうしても物足りない。僕はもう、きょうからは、甘い憧憬家ではないのだ。へんな言いかただけど、僕はプロフェショナルに生きたい!
斎藤氏のところへ行こうと決意した。きょうは、どうあっても、僕の覚悟のほどを、よく聞いてもらわなければならぬ、と思った。そう決意した時、僕のからだは、ぬくぬくと神の恩寵に包まれたような気がした。