Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
僕はもう、以前のような子供ではないのだ。
「何が可笑しいのです。」と静かな口調で言って、「僕は、ぜひとも先生にお目にかかりたいのです。」
「はい、はい。」と、うなずいて笑いころげるようにして奥へひっこんだ。僕の顔に何か墨でもついているのであろうか。失敬な女性である。
しばらく経って、こんどはやや神妙な顔をして出て来て、お気の毒ですけれども、先生は少し風邪の気味で、きょうはどなたにも面会できないそうです。御用があるなら、この紙にちょっと書いて下さいまし、そう言って便箋と万年筆を差し出したのである。僕は、がっかりした。老大家というものは、ずいぶんわがままなものだと思った。生活力が強い、とでもいうのか、とにかく業の深い人だと思った。
あきらめて玄関の式台に腰をおろし、便箋にちょっと書いた。
「鴎座に受けて合格しました。試験は、とてもいい加減なものでした。一事は万事です。きょうの午後六時に鴎座の研究所へ来い、という通知を、きのうもらいましたが、行きたくありません。迷っています。教えて下さい。じみな修業をしたいのです。芹川進。」
と書いて、女のひとに手渡した、どうも、うまく書けない。