Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
本当に、読んでるのかい?」と薄笑いしながら言った。
僕は返事をしなかった。腹の中で、こう言った。紀の国やさん、これからの役者は、あなたみたいに芸ばかり達者でもだめですよ。
十日ほど前、市川菊之助は、僕をレインボウへ連れて行って、ごちそうしてくれて、その時にボイルドポテトをフオクで追いまわしながら、ふいとこう言ったのだ。
「私は三十まで大根と言われていました。そうして、いまでも私は自分を大根だと思っています。」
僕は泣きたかった。あの団長の言葉が無かったら、僕はきょうあたり、首をくくっていたかも知れない。
新しい芸道を樹立する。至難である。頭に矢が当らず、手脚にばっかり矢が当る。最もやり切れぬ苦痛である。一粒の芥種、樹になるか、樹になるか。
もういちど、ベートーヴェンのあの言葉を、大きく書いて見よう。「善く且つ高貴に行動する人間は唯だその事実だけに拠っても不幸に耐え得るものだということを私は証拠立てたいと願う。」
九月十七日。日曜日。
曇り。時々、雨。きょうは、稽古は休みだ。きのうは道場で、夜の十一時半まで稽古があった。めまいがして、舞台にぶったおれそうになった。