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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんのよんくんし

剣の四君子・日本名婦伝

吉川 英治

Lesen Sie 剣の四君子・日本名婦伝 (けんのよんくんし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.635 Zeichen · 306 Bildschirme

Aozora Bunko

三

もうその頃、彼はひそかに、自分の天命に、ひとり期しているものがあったらしい。青葉若葉は、ことしの夏もしずかに山城の一荘をつつみ始めていた。

三

石舟斎が、掌上の珠のように、眼にも入れたいほど、鍾愛して措かなかったのは、孫の兵庫利厳だった。

骨肉的にも、その天性の剣をも、彼はこの孫を、

「わが家の至宝」

と、珍重していた。

だから平常もよく、

「そちは、他家から求められても、千石が一粒欠けても、仕官してはならない」

と、云っていたほどである。

肥後の加藤清正から、彼と昵懇な黒田長政を介して、正式に兵庫をその家中へ懇望して来た折も、

「千石ならでは」

と、断わった。ところが清正は、他の家士のふりあいもあるので、表向き五百石、内分千五百石、客分として迎えましょうと、要求以上の好遇をもって答えて来たので、

「それほどまで、孫の器量を御属望くださるなら」

と、一切を長政に託して肥後へ遣った。

けれどその交渉の最後にも、もう一つ石舟斎から清正へ条件を云いたした。その条件とは、

「兵庫事は、天性、御奉公を懈怠いたすようなものではござらぬが、何といっても、若年者、それに短慮のところもありますゆえ、落度あっても、死罪三たびまでは、お宥しありたい」