Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.479 Zeichen · 394 Bildschirme
お京様の身の上へ返って来た。「これこそ本当の恋人だ。その本当の恋人が、すぐ手近にいるではないか。つかまないのはばかだなあ。しかし」とここで考えた。「完全につかませてくれるかしら? 心とそうして身体とを」なんとなく不安に思われた。「神聖神聖としたお嬢様、処女処女としたお嬢様、そこまで愛しているかしら? それさえわかれば決心する! なんと邪魔ッけな大小だ。駕籠に乗るにさえ厄介だ。うるさい威儀も体面も、この大小があればこそさ。なんの捨てるに惜しいものか」
ヒョイと駕籠から首を出した。眼の前にお京様の駕籠がある。そこからのぞいているお京様の顔! 二人の眼と眼がぶつかった。
「よし」と広太郎つぶやいた。
「これできまった。山にいよう」
だがいったいどうしたんだ? 何が決心をさせたんだろう? なんでもなかった。お京様の眼に、涙が光っていたからである。
木地師の大軍走って行く。正午となった、昼飯だ! それを済ますとまた旅行! 「ホイ、ホイ、ホイ、……ホイ、ホイ、ホイ」機嫌のよいのは将右衛門、真っ先に立って走って行く、掛け声にさえ活気がある。
今日のいわゆる日本アルプス、そっちへ走って行くのである。