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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

「あとで、ゆっくり見せてあげるよ。今はじっとして居なくてはいけない」

「どうか、今すぐ見せて下さい」こういって彼はその頭をむくりと上げた。私は両手を伸して制しながら、

「動いてはいかん。急に動くと気絶する」

「ですから、気絶せぬ先に見せて下さい」といって彼は再び頭を枕につけた。

私は一種の圧迫を感じた。腫物の切り離された姿を見たいという慾望を満足させるために、施してならぬ手術を敢てした私が、どうして彼の今のこの要求を拒むことが出来よう。私は看護婦に向って、先刻切り取った、彼の右の手を持って来るように命じた。

やがて、看護婦は、ガーゼで覆われた、長径二尺ばかりの、楕円形の琺瑯鉄器製の盆を捧げてはいって来た。それを見た患者は、

「おいお豊、起してくれ」

と言った。

「いけない。いけない」

私は大声で制したけれども、彼は駄々をこねる小児のように、どうしても起してくれと言ってきかなかった。起きることはたしかに危険である。危険であると知りながらも、私は彼の言葉に従わざるを得なかった。で、私は、右肩から左の腋下にかけて、胸部一面に繃帯をした軽い身体の背部に手を差し入れ、脳貧血を起させぬよう、極めて注意深く、寝台の上に起してやった。