Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
これはと思って傍を見るとモーターが頻りに廻り、陰圧発生機と酸素供給器とが活動して居ります。
人工心臓! そうだ、自分は人工心臓を装置して貰ったのだ。人工心臓の快さ! 恐怖を知らぬ人工心臓! 人工心臓こそは病気に対する恐怖心を完全に除くものだ! 人工心臓こそは人をして楽園に遊ばしめるものだ! 何という平安な世界であろう!
はっと思った途端、けたたましい咳嗽と共に又もや咯血が始まりました。楽園は急転して地獄の底と変りました。人工心臓のモーターと錯覚したのは、咯血によって生ずる腹の鳴り音に過ぎなかったのです。その鳴り音をモルヒネの作用によって、人工心臓から生じた安楽の世界として誤認させられたに過ぎませんでした。咯血はコップに三杯ばかりで止みましたが、恐怖心は再び猛烈に私を襲って来ました。即ち、モルヒネの作用が消滅したからです。
私は仰向きに静臥しながら、つくづく人工心臓にあこがれました。人工心臓は私が夢で見たごとく、たしかに疾病の恐怖を救うにちがいないと考えるに至りました。私が人工心臓の発明を思い立ったのは、人間を死から救い長生延命の実をあげるためであったのですが、死の恐怖にもまさる咯血の恐怖を経験してからは、「疾病の恐怖」