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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

を救うだけのためにも、人工心臓を完成しなければならぬと考えました。

ことにその時私は、かねて心理学の講義で聴いたランゲの説を思い出しました。ランゲの説とは、例を取って言いますならば、私たちが恐怖の感を起すのは、恐怖の時に起る各種の表情をするためだというのです。即ち平易な言葉でいうならば、恐ろしい感じが起ったから髪が逆立ち顔が蒼くなるのではなく、髪が逆立ち顔が蒼くなるから恐ろしい感じがするのだという、いわば極端な機械説なのです。咯血をしても、機械説だけは相変らず信じて居た私は、人工心臓によって恐怖のなくなる理由をこのランゲの説で巧みに説明し得ることを知りました。即ち恐怖のときには心臓の鼓動が遅くなり甚だしい時には停止します。これは即ち、心臓の鼓動が遅くなり又は停止するために恐怖心を抱かしむるに過ぎないのです。だから、若し人工心臓を装置して、たえず変らぬ打ち方をせしめたならば、恐怖の感は起り得ないにちがいありません。

かく考えると、私は一日も早く恢復して、人工心臓の第二段の研究に取りかかりたいと思いました。幸いに咯血は五回で止みまして、その後の経過も順調に進み、凡そ一ヶ月半の静養で再び起って働くことが出来るようになりました。