Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
そうして署長に報告した。
「家宅捜索をしましても、別に逃亡したような様子は見られませんでした。やっぱり一時的に留守にしたとしか考えられません。平素隣りの人たちとあまり交際して居ないので、老人の行って居そうなところは誰も知りません。そのほか大平さんと関係のありそうなものは何も見つかりませんでした」
話して居るところへ、わが素人探偵戸針康雄が帰って来た。彼の顔には、いわば勝利の色が漲って居た。
「どうでした?」と、丑村刑事が言った。
「わかりましたよ」康雄の声は朗らかであった。
「え? 老人の行方がわかったのですか」
「今私は、老人に逢って来ました」
「老人を連れて来ましたか」
「そのまま別れて来ました」
「そりゃ大変だ。逃げられてしまう。老人は何処に居ますか」
「大丈夫逃げは致しません。これから私は紺野老人の居るところへ、あなたと署長さんを案内したいと思います」
自動車が用意されて、三人は乗った。そうして十分たたぬうちに目的地に着いた。それは小針の十番地、即ち歌代が一昨晩、大平氏に最初に連れられて来た家であった。あたりは森閑として、植込には、西に傾いた日が、さびしく照って、四月とはいえ、先日来の気狂い気候で霜枯れのような寂しい感じが漂って居た。