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Japanische Klassiker mit Furigana

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

御願いで御座います。

百五十歳の老婦人はこういって、私のそばに、にじり寄って来ました。いままでのその緊張して居た態度が急に崩れて来ました。私はそのとき、何ともいえぬ不快な感じを起こしましたが、漸く冷静な心になっていいました。

――決して、御心配なさるにはおよびません。あなたの家に伝わる病気は血友病と名けるものでありますが、この病気はその家系のうち、男子のみが罹って、女子には決して起こらないのです。たといあなたの十五六歳のときに月のものがはじまっても、あなたは決して、それで死ぬことはなかったのです。あなたの信仰なさる神様は、女には月のものがあるからという御つもりで、女を血友病には罹らせぬように工夫して下さったのです。ですから、たとい、今日、月のものがはじまりましても、やがて血は必ずとまります。あなたは、それで、死のうと思ったとて実は死ねないのです。

私の話しつつある間、老婦人の顔に、一種の獣性を帯んだ表情がうかびましたが、だんだんそれが露骨になって行くのを私は見のがさなかったのです。そうして、私が語り終るなり、あッという間もなく、百五十歳の隠居さんはその皺くちゃの両腕をのばして、私の頸にいだきつきました。