Japanische Klassiker mit Furigana
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みっつのあざ
怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集
小酒井 不木
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集 (みっつのあざ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.140 Zeichen · 396 Bildschirme
彼も五人の恐ろしいことをよく知って居りましたが、自転車ですから、細道をとおることも出来ず、又、いかに足の早い悪漢たちでも、自転車には追いつけませんから、冒険をしつつやって来たのであります。彼はいつも自転車の鞍の後のところに籠をいわえつけ、その中へ馬肉を入れて運びました。
その時、日は暮れかかって居ましたが、小僧がむこうから走って来るのを、早くも見つけた悪漢たちは、ばらばらととび出して来て道を塞ぎ一斉に両手を上げました。驚いたのは小僧です。然し身の軽い彼は、ひらりと飛び降りたかと思うと、くるりとハンドルを後ろ向け、再び飛び乗って今来た道を引き返しました。
「馬肉を寄越せ」
「肉を置いて行け」と、五人は口々に叫び乍ら、小僧の後を追いかけましたが、もとより敵することが出来ません。さすがの五人も顔見合せて苦笑しながら、道ばたに腰を下して、小僧の走って行く姿を残念そうに眺めました。
小僧の姿はいつしか夕靄の中に消えて、五人は何事をか話し合ながら立ち上ろうとすると、小僧の去った方角から夕靄の中を白いものがこちらに動いて来るのでした。近づいたのをよく見るとお蝶さんの白が口に大きな肉塊をくわえて居るのでありました。