Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
過ぐる月日の間、自分に附纏う暗い影は一日も自分から離れることが無かったが、今はその暗い影も離れたと書いてよこした。そして自分は年寄や子供のために、もっと働かねば成らないと思って来たと書いてよこした。
この節子の手紙には岸本の身に浸みるような、かずかずの細いことが書いてあった。その中には、女らしい彼女の性質までもよく表れていた。岸本は、普通の身でない彼女が上京した母親と一緒に成った時のことを胸に描いて見た。その時の彼女の小さな胸の震えを、何時でも割合に冷静を失うことのない彼女の態度を――何もかも、岸本はありありと想像で見ることが出来た。あの嫂が高輪の留守宅を見た時は、あの嫂が節子と子供を残して置いて海の外へ行こうとする自分の意味を読んだ時は、それを考えると岸本は自分の顔から火の出るような思いをした。
神戸へ来て、是非とも岸本の為なければ成らないことは、名古屋に滞在する義雄兄へ宛てた書きにくい手紙を書くことであった。彼はその一通を残して置いて独りで船に乗ろうとした。幾度か彼は節子のことを兄に依頼して行くつもりで、紙をひろげて見た。その度に筆を捨てて嘆息してしまった。