Japanische Klassiker mit Furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Lesen Sie 新生 (しんせい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.815 Zeichen · 663 Bildschirme
四十六
東京の方にあるクック会社の支店からは、岸本が約束して置いて来た仏蘭西船の切符に添えて、船床の番号までも通知して来た。宿屋の二階座敷から廊下のところへ出て見ると、神戸の港の一部が坂になった町の高い位置から望まれた。これから出て行こうとする青い光った海も彼の眼にあった。
四十六
「名古屋から岸本さんという方が御見えでございます」
宿屋の女中が岸本のところへ告げに来た。丁度彼はインフルエンザの気味で、神戸を去る前に多少なりとも書いて置いて行きたいと思う自伝の一節も稿を続げないでいるところであった。義雄兄の来訪と聞いて、急いで彼は寝衣の上に羽織を重ねた。敷いてある床も部屋の隅へ押しやった。もしもインフルエンザの気味ででもなかったら、隠しようの無いほど彼の顔色は急に蒼ざめた。義雄兄は岸本の出発前に名古屋から彼を見に来たのであった。
「弟が外国へ行くというのに、手紙で御別れも酷いと思ってね。それに神戸には用事の都合もあったし、一寸やって来た」
こうした兄の言葉を聞くまでは岸本は安心しなかった。
「や――時に、引越も無事に済んだ。一軒の家を動かすとなるとなかなか荷物もあるもんだよ。